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早津みかん園 早津 昌俊さん
2008年10月31日

早津柑橘園
早津 昌俊さん
"自分の創ったもの"がお客様と共有できれば-。
みかんを通じて、世の中の一員になりたい。
肌寒くなると、食卓に必ず登場し始めるみかん。農産県・佐賀、中でもみかんは全国有数の生産高を誇る。今回、おもむいたのは「早津みかん園」さん。10月後半、「さがファン」にオープンしたばかりの、できたてホヤホヤのショップの源は、佐賀県最南端・太良町の山の中腹にある。あたり一面緑の山々に点在する様々なみかん園の木々、眼前に広がる美しい有明海。頭上の高い空からは、さんさんとお日様の光が降り注ぐ。季節の風物詩・みかんは秋冬収穫のみ…まさに今からが旬で一番美味しい時期だ。ショップオープンしてわずか5日後という早業ではあるが、既に注文が入っているという期待のさがファン初・果物系農園の主、早津さんに会いに車を長々と走らせた。
Q・このあたりは、本当にみかん農園が多いですね!「早津みかん園」さんの歴史を教えてください。
A・もともとは昭和35年に、父である先代がまだ16歳のころにこのあたりの雑木山を開拓し、みかんの樹を植えたのが始まりです。その頃は、まだ果物を植える農家っていうのは珍しかったんですね。それから時を経て平成元年、先代が亡くなり、私が2代目として受け継ぎました。私は元々福岡でサラリーマンをやっていたのですが、会社を辞め、故郷に戻り、全国を農業指導する師匠の指示のもと、初めてみかん農園の経営を始めたのですが、それは最初、大変でしたね。今のスタイルが落ち着いたのはここ2~3年なんですよ。
Q・みかん園を継ごうと思われたきっかけは何だったんですか?
A・私には兄がいるのですが、なぜか、小さな頃から父は私にみかんのことばかり教えてくれていたような気がします。生まれた時からみかんに囲まれ、遊び場は倉庫のみかん箱でした。父はきっと、兄よりも私の方がみかん好きってわかっていたんでしょうね(笑)。
小学生の時は、彼岸花が咲く時期が嫌いでしてね…みかんは季節モノだから、秋からすごく忙しくなるんです。学校から帰っては夜中まで手伝いしましたね。でも、子ども心ながらに、みかんの収穫は真剣でした。そんな思い出と故郷への想いが忘れられなかったんでしょうね。すぐに継ぐことを決意してUターンしてきたんです。
Q・さぞお父様もホッとされたでしょうね。ところでホームページでも通販をされていますが、「さがファン」に出店しようと思われたのはなぜですか?
A・ホームページは私の趣味から始めたもので、ついでに通販をやってみよう、という軽い気持ちから、だったんです。そんな時、「さがファン」担当者からお話を熱心にいただいて、ネット通販の奥深さを初めて知りました。時勢も時勢ですし、この太良町という小さな町から全国の皆さんに私の作ったみかんが届くなら…と夢がふくらみ、ここは"餅は餅屋"、ということで、担当者さんにお任せすることにしたんです。そのかわり、みかん生産に、より、もっと情熱を注げられる、と思って先日、オープンさせていただきました。
Q・普段はどのような業務をされていらっしゃるんですか?
A・みかんは秋冬の時期モノですので、1年のうち秋冬の収穫以外は、ずっと土や樹の管理です。県内のスーパーや、市場に卸したりしていますが、県内はみかん農園が多いので、市場はもっぱら福岡、東京ですね。日々は、妻ともう1人のスタッフ、3人で農園を営んでいますが、収穫時期になると10数人のパートさんに来ていただいています。また、雑草の刈り取りなども、業者さんに来て手伝ってもらっています。
Q・そもそも、1本のみかんの樹からどれくらい実が収穫できるのですか?
A・約2.3ヘクタール(2万3000m2)の農園に、3年~50年選手の約60本の樹を植えています。平均では、25年選手の樹が活躍するのですが、だいたい収穫量は、樹の年数×4キロで計算しています。ですので、平均でいえば、25年×4キロ=100キロのみかんが1本の樹からとれる計算になりますね。その中で市場に出せる、お客様に出せるみかんは約70%という計算から、木々を管理しています。
Q・土づくり、樹づくりが評価され、佐賀県が認めた「エコファーマー認定」(持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律)を取得されましたよね。
A・肩書き、はあまり気にしていません。むしろ取り組みが大事ですね。土作りにはとても気を配っています。みかん畑には普通、ミミズがいないんですよ。でも、うちにはいっぱい。それは、除草剤を使ってないからなんです。堆肥も化学肥料ではなく、有機質を中心にした肥料、天然ミネラル資材を使っています。農薬もできるだけ減らしてますね。とにかく大変なのは、雑草の刈り取りです。普通は除草剤をまけば一発なのですが、うちでは全部刈り取って、土に戻すんです。戻すと土の中が湿り、水分保持が良くなった状態で、微生物が土の菌を殺さず、雑草を分解してくれるんですね。そして、ふかふかの土壌ができあがるんです。一見、いらない雑草でも新しい土作りに一役買ってくれるんですよ。
Q・しかし、雑草の刈り取りは大変なのでは…?
A・もう正直うんざりですよ(笑)。だって、草に追われる夢をよく見るんですから。確かに除草剤は便利です。雑草は刈り取っても刈り取っても生えてくる。一人じゃ手に負えなので、業者さんに頼むとやはり経費もかかります。春夏秋冬、年間約80人の方に手伝ってもらって、雑草を刈り取るんですよ。
でも農産物づくり、すべてに言えることは、「どこまでできるか」ではなく、「どこまでやりたいか」だと思うんですよね。例えば、みかんの収穫量を増やしたければ、そういう土台づくりをしなきゃならないし、甘いみかんを多くつくりたければ、収穫量は減るけど、土や樹の管理の段階から変えなきゃいけない。秋冬に収穫を終えたら、樹の剪定をし、施肥(さまざまな肥料を与え、土台作りすること)を行い、芽と花を摘みます。この間、雑草を刈り取るわけです。そして、実ができ、摘果をして、市場に出す…。収穫よりも土や樹の管理に時間を多く費やしていますね。
Q・スーパーに行けば、1年中みかんは売っていますが、早津さんはあくまでも旬モノしか出さない…その理由を教えてください。
A・もちろんビニールハウスを使えば、年中みかんは生産できます。私は、みかんづくりを始めて思ったのは、「みかんは生き物を飼うのと一緒」ということ。やはり、旬のモノが一番美味しく、そして栄養価が高いんですよ。施設栽培が性格に合わないっていうのもありますが、旬モノは旬の時期に食べるから美味しく、体にいいんです。それは、農作物をつくって初めてわかりました。私の師匠が言ってくれた言葉「農業者は作物を通じて、人を健康にする義務がある」のとおり、四季と共に生きている私たちにとって、旬のモノを食べるという大切さ、ということを、もっと皆さんに伝えていけたらな、と思っています。
Q・もっと、私たち一消費者も知識をつけないといけませんね…。ところで太良町のみかんが美味しいといわれるのは何故ですか?
A・ひとえに海、ですね。みかんは潮風があたるところは美味しいといわれています。日本の代表的みかん・温州みかんは、暖かいところで生まれ、寒さに弱いみかんです。有明海は冬でも熱を持っているので(海水温度約20℃)、そこからの海風で冷えないんですよ。冬の海は寒い、と思うのは、風によってそう体感するだけであって、実際暖かいんです。それに、海特有のミネラルが潮風と共にのってくるので、太良町は実にみかん栽培に即した場所ですね。反対に温度差が激しい盆地のような場所は、栽培に向いてないんですよ。
Q・なるほど~。みかん生産において、一番大変なことってなんですか?
A・去年と同じものをつくること、ですね。何せ、自然が相手ですから、日照時間、雨量、温度、湿度…違う環境の中、品質を保っていくのは大変です。
Q・では、一番の喜び、嬉しいことって、なんですか?
A・自分の思うとおりのみかんができた時ですね。見た瞬間、味まで想像できますよ。もう、今までの苦労も吹き飛んで「やった~!!」って思いますね。以前…10年ぐらい前までは、父がつくったみかんより、美味しいものをつくりたい、その一心でやってきましたが、最近では、"自分のみかん"をつくりたい、と思うようになってきました。ただ、甘いだけじゃなく、ほどよい酸味を持ったバランスの良い味のみかん。重量感があり、日持ちして、栄養価の高いみかん…。確かに、安くて美味しいみかんをつくれ、といわれたらつくれます。でも、美味しい、と感じるのは人それぞれ。私の基本は、自分が美味しいと思うみかん。それが、自分の思うとおりのみかんです。それを、お客様が買っていただき、美味しい!と共感してくれ、喜びを共有できるのが一番の喜びであり、そして希望ですね。
Q・"自分のみかん"をつくる…大変そうですが、とても楽しそうに感じます。「さがファン」では、今後どう展開していこうと思われますか?
A・まだまだ、ネット通販は入口に立ったばかり。私もちょうど、みかんづくりにおいて、考えの軸が固まってきたところなので、時期的には再・スタート、ピッタリだと思います。もっといいみかんをつくって、もっといろんな人に食べていただきたい。そのためにはもっと研究して、精出して、みかんづくりに取り組んでいこうと思っています。師匠の言葉「人は健康、樹は健全」をモットーに美味しいみかんを太良から全国へ発信していきますので、ぜひ、うちのみかんを食べてみてください!

太良町の山の中腹からは、一面の有明海という絶景。この海風が美味しいみかんをつくる手助けをしてくれる

空から降り注ぐ太陽もみかんづくりに欠かせない。代表商品「おひさまおれんじ」のネーミングにピッタリの環境だ

10月下旬から11月にかけて、完熟していくみかん。まさに今が旬だ

注文を受けて収穫し、全国に発送するからもぎたて、新鮮なみかんが味わえる

もぎたて、何日、何週間かおいたみかん…冬を通じ、甘さや味の変化もみかんの美味しさを楽しむ醍醐味

みかん園には建設中のログハウスが。早津さんが、地域のみなさんが集える場所にしたいと趣味でつくり始めたそう
投稿者 さがファン : 2008年10月31日 21:34
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